2010年09月12日
『日本の美術 琉球の金工』がデタ!

久保智康『日本の美術533 琉球の金工』(ぎょうせい刊)がついに出ました!
【内容】
19世紀中頃まで、現在の沖縄近辺は「琉球」という一つの国家で、東アジアにおける大交易地でありました。日本と中国の間の王国でしたが、その文化は、それらを単純に足して2で割ったものではありません。琉球独自に製作された金工品は、ほとんどが沖縄戦で失われてしまいましたが、本書に掲載している遺宝は、著者が何年にもわたり各地の旧家を訪ねて収集した、まさに琉球の文化を読み解く重要な資料です。本書では、琉球史の時代軸に沿いながら、刀剣や装身具等の琉球金工の多様性と独自性を紹介します。
●序章
琉球金工への視点/琉球の時代区分と中国との関係
●1 銅鏡
古琉球時代の銅鏡/古琉球の「破鏡」/多彩な舶載鏡/近世琉球時代の道鏡/首里で製作された鏡
●2 甲冑
日本甲冑をまとう/琉球兜の個性
●3 刀剣
尚家伝来の刀剣/古琉球の刀剣需用と中国への移出/円覚寺のクリス/故宮に残る刀剣
●4 飾金具
浦添ようどれ出土金具の衝撃/勝連城跡出土の飾金具/浦添原遺跡の飾金具/中城御殿跡と首里城跡御内原跡出土の飾金具/円覚寺跡出土飾金具の製作地/ケーの飾金具/琉球の飾金具の特色
●5 仏具
尚泰久・尚真の仏教信仰と梵鐘/雲版と鰐口・けいす/鉦鼓とカネ/密教法具
●6 供養具
首里城跡京の内跡出土の香炉片/明代の香炉/日光東照宮と輪王寺の供養具/上江洲家の花瓶と燭台/檀王法林寺の香炉/近世琉球の供養具
●7 装身具
琉球簪と指輪/神女の金簪/神女簪の系譜/神女簪の製作年代
●8 酒器
御玉貫/盃と酒台/錫製酒器の文化/長柄銚子
●9 東道盆
故宮に残る東道盆と銀皿
●終章
琉球における金工製作/首里王府の金工工房/琉球金工の多様性と独自性
●特別寄稿
古琉球の金工品生産と流通
/早稲田大学琉球・沖縄研究所客員研究員 上里隆史
●主要参考文献
●図版目録
近年、沖縄の金属工芸品の研究は格段に進展しています。そのけん引役ともいえる金工品研究の第一人者、久保智康先生(京都国立博物館)がその成果を一般向けにわかりやすくまとめた琉球金工本の決定版です!僕も巻末に特別寄稿として「古琉球の金工品生産と流通」という小論を執筆しています。金工品そのものというよりも、文献史料からわかる金工品使用の諸相、また生産と流通の問題を扱っています。非常に簡単な試論という感じですが、何かの参考になればと思っています。
本書はビジュアルも豊富なので眺めていても楽しいです。ぜひ読んでみてください!
Posted by とらひこ at 08:43│Comments(0)
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