2010年11月25日
魅惑!すずりの世界

沖縄には古い文字記録がほとんど残ってないといいます。たしかにその通りなのですが、ゼロに近いというわけではなく、わずかながらも現存しているものはあります。そして、文字を書く際に必需品だったのが筆とすずり。紙に書かれた文字記録は失われても、すずりから文字を書いていたことはうかがえます。つまり沖縄で出土する「すずり」の存在は、前近代の人々が各地で文字を書いていた証拠となりえるのです。僕も少し関心を持っていましたが、遺跡から出土する「すずり」の全体像はどれだけのものかはわかりませんでした。
そんななか、今帰仁村教育委員会の宮城弘樹氏から連絡が届きました。やってくれました、何と遺跡出土の「すずり」を集めて企画展を行うというのです。おそらくこの試みは初めてではないでしょうか。
◆平成22年度今帰仁村埋蔵文化財保存活用整備事業
企画展 掘り出された硯(すずり)
~琉球・沖縄の硯から見た歴史と文化~
期間:2010年12月1日~26日
場所:今帰仁村歴史文化センター3階談話室
休館日:年中無休
開園時間:午前9時~午後5時
※歴史文化センター入場料400円が必要です。
※展示品解説会(ギャラリートーク)
日時:2010年12月4日(土)10:00
場所:今帰仁村歴史文化センター3階談話室
解説:有銘倫子(今帰仁村教育委員会)
【企画展の紹介文】
沖縄最古の文字記録は、15世紀までさかのぼることができます。(略)こうした文字記録などから、グスクが築かれ実際に機能していた時代の社会では、意思伝達手段の一つとして文字が用いられ、また必須の道具となる硯や筆などがグスク内で使われたことが想像されます。
しかし文字記録を残した人々がいた場所や、実際に使われた道具はどんなものだったのでしょうか?その証拠の一つである出土する遺物に記された文字や硯から、当時の文字を使用する人々やその道具を、ひいては琉球・沖縄の歴史や文化について探求することを目的、展示会を企画しました。
展示会ではグスク時代から現代までの実際に使われた硯を中心に、墨をする時に硯へ水を入れる水滴のほか、今帰仁城跡出土の金属製の印章などもご覧いただくことができます。
私たちの祖先が育んだ歴史や文化の中で、硯がどのような場面で使われ、またどのような役割を担ったのか、硯とそれにまつわる人々の話など、沖縄の歴史や文化のおもしろさを紹介できれば幸いです。
【問い合わせ先】
今帰仁村教育委員会(文化財係) TEL:098-056-3201
今帰仁村歴史文化センター TEL:098-056-5767
〒905-0428今帰仁村字今泊5110
E-mail: mn-bunkazai【アットマーク】woody.ocn.ne.jp
これはシブイ!文献を扱っている僕にとっても見逃せない内容です。この企画展で、新たな古琉球史像が浮かび上がるかもしれません。とくに12月4日は10時から解説付きで展示品を見ることができますのでオススメです。県内出土のすずりが一同に会する機会はめったにありませんよ。みなさま、ぜひ今帰仁村にお越しください!
Posted by とらひこ at 18:00│Comments(0)
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